みど

グローバル時代をむかえ、私たちを取り巻く物の均質化が進むなか、日本各地で育まれてきた工芸や手仕事が独自の表現を生み出す資源として見直されています。工芸というジャンルにとらわれることなく、素材を用い、技法を駆使して工芸美を探求する本展の出品作家の取り組みは、人と物との関係を問い直すとともに、手仕事の可能性の広がりを予感させます。

本展覧会では、日本の美意識に根ざした工芸的な作品によって、いま最も注目されている1970年以降に生まれた作家12人を紹介します。

展覧会タイトル「和巧絶佳(わこうぜっか)」は現在の日本における工芸的な作品の三つの傾向―日本の伝統文化の価値を問い直す「和」の美、手わざの極致に挑む「巧」の美、工芸素材の美の可能性を探る「絶佳」―を組み合わせた言葉です。この展覧会は現在の日本の工芸の新しい兆候を示すだけでなく、これまで受け継がれてきた日本の手仕事の可能性を考える機会となることでしょう。

第1章
日本の伝統文化に根ざした工芸美
グローバル化にともない地域ではぐくまれてきた固有の伝統文化が失われ、人を取り巻くものの均質化が急速に進んでいます。そうした流れに抗うかのように、伝統文化のなかにある日本の美意識をよりどころとして、工芸というジャンルを超えるような作品が作り出されています。日本の伝統文化は国境を越えて共感を呼ぶ力を備えています。
第2章
手わざの限界のその先にある工芸美
デジタル技術の進歩がいちじるしいからこそなのでしょうか、おしげもなく時間と情熱を費やし、人の手によるものとは信じ難い作品を生み出す工芸家が脚光を浴びています。手わざの極致ともいえるような造形物は、時代と国境を超える普遍的な力を備えています。人間の手わざの限界に挑む工芸家の作品は日本の工芸美そのものといえます。
第3章
絶佳
素材が生み出す工芸美の可能性
素材そのものの持つ美しさを再認識することは工芸を見る大きな楽しみの一つです。気品ある光彩を放つ螺鈿の輝き、極薄の白い磁肌が生み出す光と影、鉄の錆びた肌の持つ意外なほどの柔らかな味など、素材の潜在的な美しさを引き出すことは、工芸家の重要な役割といえるでしょう。工芸素材そのものの美しさは、工業製品に囲まれて生きる私たちの身の回りの環境を問い直し、物への慈しみの心を目覚めさせます。